サヨナラ


夢と現実との境界線が
余りにも曖昧すぎるから

死と生の境界すらも
容易く乗り越えられそうで

そっと心臓に触れれば
その鼓動は過去のもので

軽く喉を切ったなら
冷たい血が流れていくから


片翼のもげた堕天使は
地から天へと落ち続ける

重力に抗いたくとも
蜘蛛の糸から転げる子供達

夢を奪われた道化師は
報復に殺戮の宴を開いて

英知は象牙の塔の中
書庫の厚い扉に閉ざされる


千年期の終わりに際し
血の涙を流す母子像の瞳

過去に人が犯した罪
稲穂を刈るように清算する

今原罪から解放される
果てなく続く地獄の連鎖

重い十字架を背負う
美しき日々に別れを告げる