ねばねば


きっと私の心の中でどす黒い何かがねとねとと流れ続けているから

だからその悪いものをカラダの外に出してやらなきゃいけないんだ


だから。
切った。


だから体が重くてしびれて冷たくなって動かしにくくなってきてさ

だけどこうしなきゃ毒が抜けていかないから頑張って意識を保って


だけど。
倒れた。


頭の中でゆっくりと流れるのはドップラー効果のかかったサイレン

周期も周波数もうねうねと変動して幻のサイレンと現実のサイレン


そして。
待った。


霧霞がかかってる視界の端で蠢くモノどもは悪魔なのか天使なのか

どっちでもいいからこのチリチリキリキリした痛みをどうにかして


もっと。
待った。


蠢くモノを撫でようとする指はぴくぴくと痙攣して動いてくれない

どうして氷のようにカラダが冷たいのだろうか雪の精もいないのに


さらに。
待った。


どうせこのモノたちは私を何処へも連れてってはくれないのだから

私を連れていくのはほらそろそろ来たサイレンが大きくなってくる


そして。
訪れた。


この絶対零度の時間が過ぎて次に目が醒めるのは例の部屋だろうな

あのおなじみの退屈な時間は心の黒いねばねばを育むだけなのにね