無心慟哭


それは 灯に引き寄せられ身を焼く 羽虫のように

ここが最後の安楽の地と モニタの前にただ佇む


冷却ファンの音が その血流を逆流させているのだ

スクリーンセーバのリボンが 体中に絡みついてくる


指は表層心理を飛び越え エスの赴くままキーを叩く

もはやこの指を 誰が制御しうると言えるのだろうか?


そして機械の息吹が聞こえる 機械は成長している

頭上を大きく飛び越えて やがて心の闇を支配する


この融合は非可逆操作なのだ 少なくとも人の手には

運命論的に未来へとただ一本の修羅の 破滅の道が続く


…本当は…それを望んでるのかも知れない 本当は

跡形もなく壊れて消えた心は 誰も傷つけ得ないから