ひとひらの羽


空から舞い落ちてきた
ひとひらの羽
掴めない
掴み取れない
目の前を舞い落ちて
雪のようにはらりと消えた

幻影

幻惑

幻覚

天使だった頃の自分

双翼をもがれた自分


それは本当に罪だったのですか?
ヒトを愛する事が…
…何故
何故に自分は
何故に自分は裁かれなければ
裁かれねばならなかったのですか?

大罪

原罪

贖罪

天使だった頃の自分

血を流し続ける自分


それは自分に科せられた償い
天使の羽を拾い集める
それは地面で
手の上で雪のように
しかしちりりと熱く溶けゆく
命尽きるまで果てなく続く償い

永久

永遠

永劫

天使だった頃の自分

獣にまで堕ちた自分


戻れない
もう二度とあの頃には
戻れないんだって

手が灼けるように熱い
もがれた翼の幻肢痛
血に染まった獣の体

もう二度と戻れない