滅び行く荒野


幾ら慈愛の指で叩かれようとも
死に瀕したこの地にはもう
草木を育む余力など残ってはいない

ああ大雨がやってきた
残り少ない草木すら流されていく
男は草木の流れ行く先を見て
大きく嘆息するしかないのだ

そして荒野の上を風が吹きすさぶ
荒野はその熱風に晒され
また草木が立ち枯れていくのだ
根はやせ細り荒野に倒れ伏すのだ

そしてつるつるになった荒野を
指できゅっきゅと撫でながら
鏡の前で男はこう呟くことだろう
“すっかりハゲちまったなぁ…”