壊れる。


綺麗な夜の真っ赤な魚の夢

超越者によって夢が開いた


解けかかった大地に伏して

ただひたすら咽ぶ君の横顔


刻々と流れる文字の洪水に身を任せたゆたう

スパイがにっこりと笑い情報戦について語る


大空につけられた値札を見て腰を抜かしてた

そんな私を君は『田舎者なのね』と笑ったね


フラッシュアウトする光景

特異点まで到達した証かも


やっぱり経路に依るんだね

初等数学は棄てておこうね


痩せているくせに躁鬱気質の君のお喋りには

もう厭きたんだとカラスがぼやいていたけど


私にはそれも円周率と同じ甘美なメロディー

ビジュアル系なんて目じゃない悪魔の子守歌


世界の終わりに際して一言

君さえいれば寝なくていい


ラプラス変換された思考は

代数学的に分解してあげる


全てを放棄して死体のように横たわってみる

これぞ私の求めていた至福の一時なんだろう


君には沢山のものを分け与えてきたんだけど

こればかりはなにがなんでも譲れないからね


メルトダウンは止まらない

眩しすぎる光に目が潰れる


炎の矢をボールに突き刺す

マッシュルーム好きな人々


沢山の魚がプライスダウンした空の上を泳ぐ

もう束縛されないんだと宗教団体が絶叫する


しかしこれも新たな狂気の幕開けでしかなく

666の魔物は密かに大欠伸をして歌を歌う


そして再び最終章を迎える

己の言霊を喰らう似非詩人


悪夢から脱出しようとして

電話回線を一斉に引き抜く


にやにやと笑いつつ中心へと落ちる登場人物

そして再び0次元の点へと収束していくのか


全てが溶解した今の状況ではそれも分からず

彩度も色相も明度もない混沌の世界へと還る