光の鼓動


「おはよ!」


今日もベルトコンベアの上をぐるぐる回るあの人

わたしも頬を精一杯赤らめてゆっくり話し掛ける


廊下でさっきすれ違った時よりも確実に嬉しい

この一瞬だけを捕まえて一緒に駆け出したいよ


「じゃね!」


光速の1/2の速さで時間が過ぎ去ったあと

残されたわたしの影絵は16色の衣を着てた


プリズムの中を光がくぐり抜けていく時に

ふとその光の束があの人の腕を連想させた


「だから?」


だって会えないんだもんと笑ってみせた

でも本当は泣き出したい気分なんだけど


どんどんと回転が速くなっていくから

捕まえられなくなるのかも知れないね


「待って。」


どんどん逃げていこうとするくせに

まだその白い歯を出して笑うんだね


私はずっとこれに騙されてるから

これからも許してあげるんだろな


「そして…」


その指一本一本がわたしの腕へ

網膜に焼きついて離れないから


今度会えるのはいつなんだろ

光と共に去ったら嫌だからね