50両編成


今日も空は真っ青で 今日も雲は真っ白で そのいつもの空の上 そのおんぼろ列車が ゆっくり滑り出した 何両編成なのだろう 百両編成なのだろう 千両役者なのだろう とかく果てなく続く そのおんぼろ列車は キィキィ鳴きながら 滑稽な汽笛を鳴らし ネジをまき散らして 走り出しているのだ あれだけ派手に走る そのおんぼろ列車に 誰も気づいていない 誰も気にしていない 僕にしか見えてない 不思議な事じゃない そのおんぼろ列車を じっと眺めていたら 今日の真っ青な空に 今日の真っ白な雲に 吸い込まれていって 僕の意識すら一緒に 吸い込まれていって 滑稽な汽笛のおとに キィキィ鳴くおとに ふっと目を覚ますと そのおんぼろ列車の 座席の上に座ってた どうせ僕が消えても 誰も気にしやしない 誰も気づきやしない 大根役者なのだろう だから僕は慌てない 何両編成なのかすら わからない長い永い そのおんぼろ列車で 未練を投げ捨てつつ いつもと違う空の下 どこが終着駅かすら わからない長い永い 旅へと出る事にした 僕だけが消えている いつもの世界と別れ そのおんぼろ列車が 進むに任せたままで 旅へと出る事にした